最後の魚の仕込みを終えて、定一は包丁を置き、ひとり、ふうと息をはいた。 「もう七年か」 ふと顔をあげると、こじんまりした板場の斜め向い、小上がりに活けてある一輪挿しの紅葉が目についた。そういえばちょうど七年前のあの頃も、紅が最も映える、晩秋…
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