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叶えなくたって、いいものですー尾形真理子「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」感想

レペゼン色惚け、抹茶です。





kindle paperwhiteを導入しました!
で、@(よつば)さんに以前ご紹介いただいた本をkindleで読んでみましたので、ざくっとその感想をば。(よつばさん、おすすめありがとうございました!)


試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)

試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)



著者の尾形真理子さんはコピーライター。彼女の名前は知らなくてもファッションビルLUMINEのキュンとする広告コピーを耳目にした人はいると思います。


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LUMINE・わたしらしくをあたらしく




この小説は尾形さんがそのLUMINEに書いたファッションにまつわるキャッチコピーを下敷きにして、物語を書いたもの。
渋谷にある架空のセレクトショップ「Closet」をキーとして、それぞれ独立した5つの恋とファッションにまつわる女の子たちのオムニバスです。


5人いれば、5つ分の恋の物語がある

5つの物語の主人公はいずれも30代前半女性で、仕事でチーフを任される実力が備わってきたり、周りが結婚しはじめたり、よき先輩として後輩の面倒を見る立場にたち始めたり。
ひとくちに恋愛といっても三者三様ならぬ五者五様のストーリーがあるんですよね。そんな当たり前のことを、ひさしぶりに恋愛小説を読んで思い出しました。
そして必ずしも成就することだけがハッピーエンドではない、ということも。


叶わなくたって、恋って、いいもんです

5つのストーリーの中で私が一番感情移入できたのは、「可愛くなりたいって思うのは、ひとりぼっちじゃないってこと。」というタイトルの「チヒロ」の物語。
出版社の翻訳部に勤務するチヒロは結婚間際に彼氏の二股相手が妊娠するという、たいそうヘビーな婚約破棄を経験した女性。ぽやぽやと生きてたのですが、あるとき隣のデスクに9つ下で海外支社帰りの後輩くんが異動してきて、彼女の世界は変わります。でも後輩くんはまもなくふたたび海外出張へ旅立ってしまう。

チヒロは「待ってる」でも「一緒についていく」でもなく、ただ告白することを選びます。
彼が異動してきてから今まで楽しい時間を共有できたこと、彼のために洋服や髪型に気を遣っていって、自分や世界がどんどん変わっていったこと。チヒロは後輩くんがそんな世界を自分にくれたことに感謝します。


そうそう、恋をするってそういうことだったなあ。

中高生の頃は「恋愛=叶えなければならないもの」、つきあうなり結婚するなりゴールを目指さなければいけないもの、みたいに盲目的に思っていたものだけれど、成就しなくたって人を好きになるって、いいものですよね。
ちょっと前にブレンディのCMで原田知世が女の子に「恋ってどんなものですか?」って訊かれて、「恋って…」ちょっと考えてのち、「…いいものですよ」とフフっと笑う、ってシーンを思い出しました。





ぜんぶが全部明確なハッピーエンドではないけれど、でもすべて主人公の前向きな前途を感じさせるとても読後感のよいストーリーばかりでした。恋愛を経ての多様な歩み方を描きつつ、読後感をきちんとそろえるってすごいな。
気になった方はぜひ。



あえていうなら

5つの物語のタイトルはすべて尾形さんが過去につくったコピーなのですが、物語の最後がすべてもうひとつ別のコピーで締められてるんですね。
それはタイトルコピーの返歌ではなくて物語の内容を受けての総まとめ的コピーなんですが、これはちょっと蛇足だったかなと。かかり言葉と結び言葉が繋がってないというか、入り口と出口が違うとちぐはぐな印象を受けてしまいます。
もっともキャッチコピーの物語化って、無限に広がる解釈の中の1本を例示することでもあるので、尾形さんのストーリー(解釈)で、このコピーに帰着するなら、それは正解なんですけれども。
ともあれしばらく甘ずっぱ死しそうな小説を読みたくなったでござる。





参照リンク

尾形真理子さん-プロ論。-/リクナビNEXT[転職サイト]


画像 : 女子なら誰もが共感してしまう、せつないコピーと鮮やかな色彩が印象的な「ルミネ」の広告まとめ - NAVER まとめ

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