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ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

天使の領分ネタバレ・振り返り

先日書きました「天使の領分」自己解体、ふりかえりです。
箇条書きでざくっと。


【創作】天使の領分【ハロウィン・ホラー】 - nerumae


テーマ:「自分がこえぇ!と思うもの」

「死をのぞむ人の絶望」
「他人の幸せの定義を手前勝手に決めるヤツは怖い」
「自我の喪失」

サブテーマ:

「最後までダレずに読んでもらう」
「人の生き死には他人が決めてはいけない」
「エンタメミステリ/ホラーを書きたい」

宮部みゆきさんのエンタメミステリが好きなので、今回はそんな感じでカッチリ、かつ最後に人の機微がじんわり伝わるようなラストを書いてみたいと思いました。
目指したのはそこなのにどうしてこうなった…

試したtips

ちょうど大沢在昌さんのこの本を読んだので、テクニック的なものもいくつか試してみました。
ナラティブモンキー: 大沢在昌「小説講座 売れる作家の全技術ーデビューだけで満足してはいけな い」


以下の点です。

・冒頭部分で興味をもってもらう
・主人公視点で見えないものは書かない(=主人公しか見えないものは書ける)
・主人公をとことん追い詰める
・感情7割、冷静3割。弁士のつもりで「さぁさぁさぁ!」と書く
・説明じゃなく描写を書く
・登場人物の設定を細かく決める

舞台設定の理由

ちょうど看護で病院に長く滞在していて、感じることが多々あったので。


名前に込めた意味

・名前は単純にアルファベット順です(絵布田って苗字はないよなさすがに)
・「ゆりえ」は病院に存在してはいけない(「百合」は匂いが強いため、見舞いの花には嫌われる)


書いてておもしろかったこと

・美坂ゆりえと椎名正人が対になった(椎名が瑛子の良心で、ゆりえが闇部分になりました)
・サブ人物が勝手に動いた
・サブが勝手に動いた結果、伏線的に働くツールが多くなった(裸足とか椎名とのデートの話とか)
・ゆりえは最初ふつうの人間だったんだけど、「ホラー」らしく瑛子が創りだした人格という設定に変更して、最後消しました。

椎名と瑛子のモデルは吉田秋生海街Diary」から拝借しました。椎名はヤスそのまんまになってしまった。
椎名が勝手にとんかつにソースをかけてて、自動筆記ってこんな感じかおもしれーと思いました。

反省点

・冒頭、入りが最高にダサイ
(お菓子=感謝、承認 いたずら=殺人[ゆりえは自殺幇助のつもり] にあたります)
・最後「口から黒い人型が出る」のはやりすぎ、蛇足(でも書きたかったの…)
・長い、登場人物が多い、余白がない(短編で登場人物増やすのは悪手だなと悟りました)




家族で入院、看護が必要な者が出ました。
本人は「つらい、死にたい」をくりかえしていたのですが、それをそのまま受けて家長が「本人がそう望むんだから死なせてやろう」と言ったのに対し、個人的に「いやそれは違うやろうが」とすごく憤ったのが書く発端です。

実際に看護にあたっていて、「つらい、もう死にたい」という言葉を毎日毎日浴びてかなりヤバイ精神状態へ引っ張られるものがありました。
目の前の家族をみながら「がんばって生きていてほしい」という気持ちの裏にかすかに「本人が望むなら、楽になってほしい」という気持ちが芽生えてました。


こたえはありません

当時の私の気持ちは、椎名正人に代弁してもらいました。
ここ。

「それもひっくるめて受けとめるってのが俺らの領分なんじゃないかな。俺だって瑛子さんだって、もうだめだ、死にたいって日があるじゃん。でも明日あさって、一年後には、ああ、生きててよかったなって思う日だってくるでしょ、生きてさえいれば。


当人の死を通した今となっては、果たしてどうすることが正解だったのかわかりません(書いてる時点でまさかそうなるとは思わなかった)
きっと普遍性のある正解を見つけてしまってはダメな領域なんでしょうね。

その中で私がその当時ひとつだけ間違いないと思える不正解、「第三者が他者の行く末を決める」という行為とその行為者を恐怖の対象として書きました。

書いてて自分でも救済が欲しかったけど、ここで救いの手が入ってめでたしめでたし後味良く終わるとホラーじゃないし読み手に何にも残んないんじゃないかなと思って、気持ちわるいまま終わらせました。
文字数も足らなかったのが一番だけど。


次回は最後までよどみなく目を通してもらって、かつ、「これ好きだな!」って感じてもらえる話をつくるぞん(∩^o^)⊃━☆゚.*・。

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