nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

フライ、伊藤、フライ

卯野です。
先日チキンを食ってて思い出した、忘れられない家禽の話をします。

http://www.flickr.com/photos/65119675@N00/222414220
photo by DanMaudsley


家が代々続く田舎の農家&父親が生き物大好きマンだったせいで、中学校に入って改築するまでほったて小屋みたいな家で動物と同居していた。MAXで、鶏、矮鶏(チャボ)、烏骨鶏、鴨、アヒル、七面鳥、犬、金魚、インコ、女郎蜘蛛、蛇、もろもろ。父も祖父もどこまでが家畜でどこまでがペットなんだか線引なんてしてなかったと思う。


小屋はあるけど鶏、鴨なんかの家禽類はほぼ放し飼いで飼ってた。家は国道沿いに面していて、大型トラックが昼夜びゅんびゅん走ってた。危険を察知してたのか、柵はとくだんもうけてなかったけど、家の敷地内から国道側にはみ出して脱走する奴はいなかったな。その代わり県道と反対側にある崖下の田んぼフィールドに、脱走防止&野良猫対策の網を食い破って脱走し、近所の人から保護捕獲されるというガッツあるやつがごく稀にいた。


飼ってた家禽のうち一番数が多く、父親やじいちゃんも手をかけてたのが鶏だった。
ひとくちに鶏といってもそれぞれ性格があるらしくて、近づくとワーッって逃げてく文字通りチキン()もいれば(そっちがほとんどなんだけど)、闘鶏並に気性が荒くて襲いかかってくる奴もいた。
そういう奴らはそういう奴ら同士でつねに喧嘩しあうので、専用ゲージに単独で入れたり、それでも傷だらけで気づいたら片目が潰されてたりした。


私が小学校低学年のとき、初めてその家に友達を招いた。さあ上がって上がってと友人を玄関に通したところ、玄関脇にあったセキセイインコのケージの上から突然何かが友人の頭に降ってきた。鶏だった。
その気性の荒い鶏が、初めてみる友人を侵入者とみなし、ベトコンよろしく奇襲をかけたのである。「もう卯野ちには二度と遊びに来ねーから!」と泣いて捨て台詞を吐かれたのも今となってはいい思い出。


高学年になるころには私も余裕が出てきて、遊びに来た友人に「あいつ気性荒いから気をつけてね」と事前アナウンスできるようになった。ところで鶏って飛べると思います?飛べるんですよ。わりと短い時間なら。
気性の荒い数羽のうち、喧嘩の時以外にも一生懸命羽根を羽ばたかせてる奴を、私と友人数名は畏敬と奇異の意を込めて「伊藤さん」と名づけた。

「伊藤さん飛ぶ練習してるよ!」
「浮いてるよ!けっこう飛んでんじゃん!ゲラゲラ」

みたいな。


でね、いつだったかな、たぶんそろそろ寒くなるな、でもまだ雪は見えないな、ってそんくらいの頃だったかな。
やっぱり友人が遊びに来てた時で、その伊藤さんがいつもの通り羽根をバタバタ羽ばたかせながら他の気性の荒い仲間にとびかかって喧嘩してたんだよ。すごい剣幕で。
私たちもそれをニヤニヤ庭から見てたんだよ、「伊藤さん今日もやってるやってる」って。

いや、今思えば、伊藤さんはずっと喧嘩してるフリをしてただけで、「その時」を狙っていたのかもしれないな。あれはトレーニングだったのかもしれない。

それまで同族に襲いかかってた伊藤さんが突然逆を向き、国道のほうを向いたかと思うとタタタっと走って、飛んだんだよ。
国道に。
ぶわって。

羽根を広げた伊藤さんの身体はゆったりと軌道を描いて国道のエリアに吸い込まれていき、私も友人も「あ」という間もなく、
次の瞬間右からきた4tトラックに「ドカン!!」とぶつかって斜め下にすごいスピードで落ちた。






夜はその年初の鶏鍋でした。




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