インターネットの空き地
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"そういうものが渾然一体となってひとりの人間であり「書きたい」という欲望を持つ人間は、往々にしてそのへんの区別をしない" /ネットの都市化。そうだと思う
2015/01/02 13:12
ちょっとだけ関連あるようなないようなお話、
「自分の信奉している人たちが自分なんかの存在で変容してほしくない、インタラクティブは万能じゃない」って話をします。
それにしても比喩が的確だなあ(私店長さんリアルタイムじゃないんだよね)。
photo by Lawrence OP
盲目の信奉者として
読んでいるブログの中で盲目的にこの人の文章が好きだってのがある。私がそういう風に好きというときは内容の政治的社会的正しさは二の次三の次で、目線の独自性だったり文体の美しさだったり語彙選択のセンスだったり、文章的正しさ美しさを優先していることが多い。
だからそういう人達の書いたものはたとえば「しにたい」でも「おっぱい」でもあるいはもっと社会的にアウトォーな内容でも、上記の自分の優先事項が完璧に揃ってればスター連打してしまう自分がいる。それがリアルか創作かを判断する脳みそが働くのはその次だ。
インタラクティブ性()にねじ曲げられる
なんだけれども、そういう目線そういう内省的な内容で書き続けていらっしゃる方々は往々にしてフラジャイルだ。なんかの拍子でホッテントリに上ったりスターやブコメがつきまくったりするとブログ内容が他者の視線を意識したものに変容してしまったり、その内容と本当に自分の書きたいこととの齟齬に耐え切れず最悪ブログを閉じられたりする。
そういうのを繰り返すと、「あ、この人の文ツボだな」と思うことがあっても、今まで同様安易にブクマやスターをつけたりするのを躊躇してしまうようになった。翌日もっかいそのエントリ見たら思ったよりブクマやスターがついてないのを見て「いやいやいやこれはどっからどう見ても面白いべや伸びた方いいべや」って地団駄踏んだりする。勝手に。
あと「この人ひっそり書きたいのかな、それともスターブクマ欄排除してないってことは押してもいいのかな」なんて忖度するのもいい加減消耗する。ハイ忖度さっそく使ってみましたよ!忖度!忖度!
冒頭のリンクでネットで何か創作したりつくったりするのは「昔はビルの一室でひそひそと書いてた」もので、「誰も知らない空き地が都市化されただけ」と比喩されてるけど、本当にそうだなーと思う。消費する側の存在がくっきりと見えなければ自己満足自己充足だけを燃料ににやってこれたものが、スターやブコメや足跡やイイネ!で可視化された途端に意識せざるを得なくなった。それまでは何も考えずにスッスッと歩いていたものが、あの人とあの人とあの人にも見られてると思うと自分の手の出し方足の運び方ひとつひとつが気になって仕方なくなった。ぎこちなくなってしまった。はてなブログのそういう解像度の高いインタラクティブ性()に私も息苦しくなったことがある。
塵芥になりたい
消費者、信奉者、いわゆるファンとして「私の神様にこの声が届けば」と思う気持ち、誰しもなくはないと思う。
でもそれによって神様を殺してしまううくらいなら私は別に声なんか届かなくていい。君よ、俺なんかで変わってくれるな。
こちらの存在なんてまるで気づかずに、ご自分のペースで変容し滅してほしい。
こういう感じ。わかりますかね。伝わりますかね。