nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

2月題詠短歌のふりかえりでごわす

今日はずっと自分の好きなもの書いてました。たーのすーィ!

というわけで自分の題詠短歌解説と振り返りです。

http://www.flickr.com/photos/21940961@N03/3081624503
photo by rishibaldawa



1.白

白奥をふみしめ鬼らすすみけり 晦日の夜の藁の触れ音


某県某地方に伝わる悪い子の生皮を剥ぐ神様の祭りの情景です。
さいしょ「白雪」と詠んだんだけど、やっぱ3の題とかぶるなと思い「白奥」という造語に置き換えました。「しらおく」でも「はくおく」でも。


2.チョコ

あーちゃんじゃなくても美脚じゃなくっても 逢いたくて踏むチョコレイト・ディスコ

中高生くらいの女子の気持ちで。「ちょっこっれっいっとっでぃすこっ」てものすごいあの頃の恋に浮かされたてる感じを再現してますよね。


3.雪

粉雪という力士が土俵にあがるまで俺はぜったい月には行かない

元ネタこれです。


4.あなた

本日はブッシュ・ド・ノエルを作ります ああなた包丁は使いませんよ

自分でお題をつくっておきながらあなたを恋うなんてベタな歌は詠まねえぞ!と反抗した結果です。
料理教室の先生が「本日作るお料理はブッシュ・ド・ノエルです、ああ佐藤さん、ナタ包丁は使いませんからしまってください、なんで持ってきたんですか怖い」っていう情景。怖い。


5.板

屋上で夕陽に透かしみてました プレパラートの血小板を

なんとなく学校や教室になじめなかった人はわかってくださるんじゃないでしょうか。なんだかどこにもうまく属せない違和感や世界とのズレを、夕陽に透かしてみる血小板の美しさが一瞬だけ忘れさせてくれます。


6.瓜

南瓜煮をくちにふくんで泣きだした あの日の我を あの日の我を

それまでこらえてた感情が、帰宅してほっと一息ついた瞬間に決壊してしまうことってありませんか?
「あの日の我を」の先を詠まなかったのは、「救ってほしい」のか「殺してほしい」のか、詠み手自身もどうしていいかわからなかったからです。



7.外

「だってさあ外は寒いし吹いてるしだからも少しはだかでいよう」


今月のお題 - はてな題詠「短歌の目」 - 日々我れ

7.外

外はほら寒いし風も吹いてるし手袋ないし肉まんあるし

すみません、これいまだなつきさんの本歌取りみたいな感じでした…。
あとでリンク貼らねば。

私だとはだかでごろごろ、怠惰になりました。



8.夜

大勝軒の横ちょのトンネル抜けたらば いびつなぼくらの夜だ、おはよう


これはいつか短編小説で書きたいと思っているんですが、以前勤めていた繁華街のお店には表口のほかに秘密の裏口があったんですよ。タチの悪い客から逃げる用の。

裏口のひと一人が通れるくらいの細い細い道を抜けるとラーメン屋「大勝軒」の前に出たんです。油でにちゃにちゃした床と午前1時を回ってもなおラーメンをすする人たちの喧騒、露天商のバングラデシュ人、酔いどれた人たちが「おはよう、おかえり」と迎えてくれているようでした。村上春樹1Q84」の螺旋階段を降りるところと感覚が似ています。
あの裏口から出たとき私は新しい私になれたのではないかな、と今でも思っています。
でもこの歌だけじゃ全然伝わらないし、「横ちょ」ってねーだろ、と思います。


9.おでん

真夜中にひとりおでんをあたためる 鍋でひっそり玉子が揺らぐ

これは怪談短歌の1歌から少し形式をお借りしたものです。

本歌はこちら。

姉野もねさん
父さんがタンシンフニンしたという シチューの肉がそっと震える

第2回twitter怪談短歌コンテスト 受賞作発表! | ダ・ヴィンチニュース

短歌ではハッピーな歌よりも「なんか不穏」な歌のほうに惹きつけられてしまうのは私だけですかねえ。真夜中におでん鍋をひっそりあたためて玉子の揺らぎをじっと見つめている人ってよく考えたら怖くないですか。
31文字の中で言いきらないこと、相手の咀嚼力と想起力を信頼するのも必要だと思うんですけど、その匙加減が難しい。


10.卒業

蛍の光つたう涙をそのままの君から 卒業しなくてもいい


語っちゃうよ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!


小6の時に好きだった男の子を詠んだ歌です。
彼は空手を習ってて、弱きを助け「ならんものはならん!」と言えるとても遠山奉行みたいな一本芯の通った子だったんですよ。

あまり小学校にいい思い出のなかった私は卒業式の最中も悲しい気持ちもとくだんなく、まっさらの学生服かっこいいなあ似合うなあとうっとりしながら彼のことをチラチラ見てたんですけど、蛍の光斉唱になったら彼がまっすぐ前をみながら歌ってたんですね、流れ落ちる涙を拭くこともなく。ただまっすぐ前を見て。
その涙をみて、ああ私、この人のこと好きでよかったな、って思ったんですよね。

だから「卒業しなくてもいい」っていうのは2つの意味にかかっています。
ひとつは、「つたう涙をそのまま流してまっすぐ前をむく君から【君自身は】卒業しなくてもいい」、
もうひとつは「その彼を好きであることから【私は】卒業なんてしなくてもいいや」です。

でも解説入れないとこれもわかりにくいよね。


詠んでて楽しかったという声をきくと嬉しいです。
みなさまのご感想・ふりかえりも楽しいです。ぜひ2度3度と楽しんでくださいませ。


はてな題詠2月みなさまの感想をご紹介します - はてな題詠「短歌の目」


2月の投稿短歌をご紹介します - はてな題詠「短歌の目」

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