nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

評価よりも「より改善できているか」をー「ものづくりで教育を変える」ワークショップ

www.ceeo.tufts.edu

CEEO=Center for Engineering Education and Outreach
米ボストンにある工学系の先進校、タフツ大学。
その中でもこのCEEOは特に「エンジニアリング(ものづくり)で教育を変えよう」ということを研究している。


先日、「身の回りにあるもので楽器を作ろう」というワークショップがあり参加した。
以下、ワークショップ後のタフツ大学研究者のプレゼンの概要と気になったところログ。
別に参加しただけで私は田舎に住んでいる超フツーの人です。

「Enginnering for education」プレゼン概要

Engineering Education and Outreachとは

現行の教育では「1+1=2」とただひとつの答えが出るような問題を解いていく。これをものづくりからアプローチ、例えば「遠くの水を簡単に便利に汲むにはどうすればいいか」という方法を考える。
このオープンエンドな課題アプローチの手法によって学び手は「キャリーカーをつくる」「井戸をつくる」など多様な課題解決力、クリエイティビティを身につけることができる。

STOMP

(Student Teacher Outreach Mentorship Program)
Tufts STOMP | Student Teacher Outreach Mentorship Program


タフツ大学ではこの Engineering Education and Outreachを幅広く普及させるため、2000年頃からSTOMPというプロジェクトを進めている。
幼稚園から高校生、被雇用者までがタフツの教授と学部生のアシストを受けながら実際にものづくりによる学びを受けることができる。

Makerspace

Makerspaceはだれでも自由にエンジニアリングをすることができる場所。3Dプリンターなど必要なものをシェアユースできる。

Fab Lab

FabLab Japan Network

日本にも鎌倉や仙台、渋谷にあるんだね。
工学ツールをシェアユース、ワークショップもできる場としては先にこのFab Labが有名、普及しているらしい。プレゼンターいわく「どちらも大きく違いはないけれど、あえていえばゴールがちがう」とのこと。

Fab labはその結果をソニーなど民間エンジニアリングに還元することが多いのに対し(というか民間工学系主導でそういったワークショップや開発アウトソーシングをしているのかもしれない)、Makerspaceはそのプロセスをより重視する。どのように考え、改善するか。



ちなみにタフツ大学でも「Jambo’s makers studio」という同様のシェアスタジオを有している。
http://sites.tufts.edu/maker/


デンマークのBillund Builds Music

http://billundbuilds.dk/music/



デンマークでは、ほぼすべての幼稚園から高校まで約4週間、「音」をテーマに学びを進めるという期間がある。
おもしろいのが生徒だけでなく教師も「音」をテーマにした授業を行うという点。たとえば歴史の教師は「音」の歴史を生徒に授業する。理科の教師は「音」がなぜ聞こえるのか、どうやってどんな音が出るのかを科学的に考察する。総合学習の時間の大規模ver.みたいな?

生徒だけでなく教師もまきこんで「ものづくりからの教育」を実践することで、教師もおもしろい授業づくりをすることになる。
この「教師が自分でもおもしろがる」というのが教育には大切で、教師が楽しく伝えているものは生徒も興味を惹かれやすくなる。

デンマークがなぜこんな大規模な試みをできるのかというと、これはおもちゃで有名な「LEGO」の呼びかけがあるかららしい。
デンマークには「LEGO foundation」
A World of Learning Through Play

があって、そこからBillund Builds Musicの資金が援助されている。だから学校側もLEGOさんがやれって言うならいっちょやりますわ」みたいな感じらしい。LEGOさんパネエっす!

結果ではなくプロセス、改善を見る

Engineering Education and Outreachで重要なことは、ものづくりの結果ではなくプロセス、いかによりよく改善したかを見る、ということ。
学校で授業の一環としてとりくむのであれば現行では評価基準、ある一定の到達点が必要になる。EEOではその評価をどうするか。ゴールをどう設定するか。
そう質問したところ、「基本的に、結果に対しての評価、ゴール設定はしない」とのこと。
評価をすると学生たちがリスクや失敗を恐れるようになる。それよりは、「最初につくったものからどのくらい改善できているか」を見る。
生徒たちがものづくりや問題解決に対してよりクリエイティブになるには、たくさん失敗し、その中から学び、仲間とよりよいものをつくるためのアイデアを出し合い、改善すること。

思ったこと

EEOの説明で印象的だったのはHands on education / outreachのほかに、「クラスメイト」「仲間」と過程や作品、考えをシェアし、改善する、というのをくりかえし言っていたこと。
「ものづくり」の根本に「みんなの暮らしをよくする」「よりよいものをつくる」という考えかたがあるからかもしれない。機会があったらいつかどこかでつっこんで聞いてみたい。


プレゼン中に出てきたプログラムのひとつ「Novel engineering」については眠いのであとで。

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