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nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

文章スケッチの広場「鳥」

ご無沙汰しております。
お久しぶりの文章スケッチをしてみます。
お題は「鳥」です。鳥の中でも「鶏」を描写してみました。
よろしくお願いします。

novelcluster.hatenablog.jp


http://www.flickr.com/photos/8070463@N03/8755805762
photo by Tambako the Jaguar


 老年の農夫が指差す方向、家屋の奥のほうへ歩みをすすめると、その小屋はあった。
 成人男性の腰丈くらいの小屋。木造だ。かなりの年数が経っている。釘の打ち方や板の並び方がところどころ不揃いだ。既製品ではない。
 そのなかに、鳥が何羽かいる。
 鶏だ。


 白、茶色、黒、複数の色の鶏がいる。
そのうちの一羽をみてみる。

 その鶏は体表を真っ白い羽根で覆われている。
 羽のボリュームを差し引いてなお、体躯自体が成熟していることがつたわる。
 肉を食用として使われるブロイラーと呼ばれる種類である。

 ふっくらとした胴体の終点には、同じく白色の尾羽根が広げられている。その反対側には、円錐状に伸びた頸部。その頂点には、濃い紅色のとさかにふちどられた頭がついている。

 とさかとくちばしが結ぶ線の中間点には、目玉が2つついている。鶏のもつフォルムの中で一番真円に近い形状だ。薄暗い鶏小屋の中にかすかに差し込む陽の光をときおり反射させている。

 まるまるとした胴体のフォルムとは対照的に、頸部は細く、そしてせわしなく動いている。鶏が歩くたびに頸部はとさかをふるわせて前後に揺れる。左右に首を振り周囲を見渡す。食餌ケースに首をつっこみ飼料をついばみ、ついで水のケースに嘴をぬらす。
コッココ、と時おり喉を鳴らし、他の色違いの鶏たちのからだに首をつっこんでいる。

とさかはそのたびにふるふると震えている。

(600字)

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