nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

対談者5、山田玲司5−ー「絶望に効く薬3」

読了。
絶望に効く薬週刊ヤングサンデーに連載されていた対談インタビューを漫画形式にしたもの。
漫画家の山田玲司先生が著名人たちと対談しながら「“絶望”が先立つ世の中に効く“クスリ”を探して回るストーリー*1」となっている。

正直山田玲司先生の絵柄はあまり好きではない。
それでも手にとってしまったのは、収録されている対談者に興味が湧いたのと、タイトルのズルさだと思う。ズルいと言う理由は後半で。

対談者の中で興味があったのは、さかなクン団鬼六竹内久美子大槻ケンヂ瀬戸内寂聴、次点で高見映(のっぽさん)、渡部陽一
10人収録中の7人だからモトはとれてる。
大槻ケンヂ竹内久美子さんなんかはご活躍されていたのにある時ぱったりと姿を見なくあったのでどうしていたのかなー、でもオーケンの自伝買うほど好きではないし竹内さんに至っては本業の研究がお忙しくなったのかもしれないし、竹内さん自伝なんて出さないだろうしなー、ってとこだったので、その理由がわかってよかった。
お二人ともヒットの反動からのパニック発作を患って長い間苦しんでおられたらしい。


団鬼六瀬戸内寂聴の波瀾万丈の生涯はなんとなく耳にしていたけど(それでも読んだら衝撃的だったけど)、驚いたのがC.W.ニコルが北極で一度拳銃自殺未遂してたこと。壮絶だ。


だいたいが前後編だけど基本漫画、プラス対談を受けての山田先生のコミットも入ってるので頁数が足りないな、走ってるはしょってるなーというのが正直な感想。
山田先生の目を通して対談者の魅力を見つけ、さらにその先の人となりへ自分で読みを進めていくための入門書みたいな感じかなと思いました。
もちろん山田先生の漫画なので主観は入っていいんだけど、画力の独特さもあいまって対談者:山田玲司先生=5:5くらいの濃さでした。


対談最後の対談者からの「今週の希望の言葉(ライム)」=「絶望に効く薬」ということでいいのかな?
私はこの本を手にとったとき「絶望」=「死に至る病」=実存的な悩みからくる憂鬱とか、鬱症状とかを想像したんだけど、この本においてそこらへんの定義があんまりハッキリしてない。

絶望に効く薬」というタイトルがズルい、というのは、そこらへんの病を罹患してる人は「特効薬」なんてあるはずがない、のをわかっていながらも喉から手が出るほど欲しがらずにはいられない精神状態で、そういう人たちにこの即物的なタイトルはものすごく刺さるからだ。
山田玲司先生も鬱にかかったとのことなので理解したうえで付けたタイトルだろう。

そういう感じなのでいまいちお言葉もピンとこなかった。ああ忘れてた、おまけおまけみたいな感じ。
もうちょいそこらへんハッキリ区分けしてくれるとよかったのでは。


あとコマ割が小さいので文庫サイズでこの内容を見るのはちと眼が疲れました。


買ってよかったーと思ったところ
竹内久美子先生の人となりを知る本は読んだことなかったので、ここはすごく面白かった。

竹内さんは直線コースでものを考えない。ゆっくり遠回りしながら、いろいろな可能性を考えてみる回路をもっているのだ。
その中で人が気がつかない、「独自の何か」を見つけることができる人なのだ

「長い間 研究室にいてわかったんですけど・・・
何を聞いてもパッパカパッパカ答えられる一見賢そうな人って、案外大したことないんですよ」


竹内さんの著書を読むと本当に軽妙にポップにわかりやすく動物行動学、遺伝子学のお話をされているので、ここを読むまですごく頭の回転が早く、相当クレバーな女史なんだろうと想像していた。
あのわかりやすい表現は、熟慮の末にごじぶんの中で何回もかみ砕き分解し削ぎ落として生まれたものだったんだなあ。


これのおかげで生物が好きになった

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