短歌と解釈「今すぐにキャラメルコーン買ってきて そうじゃなければ妻と別れて」
抹茶です。
今すぐにキャラメルコーン買ってきて そうじゃなければ妻と別れて
- 佐藤真由美「プライベート」収録
えーきのう [twitter:@4clover7]さんと[twitter:@dobonparty]さんにこの歌を気にかけていただいて、三者三様の解釈が出ておもしろかったのでそれについて書いてみますね。
まずはおふたりの解釈
@4leafclover7 @macchauno
— ドボン会 会長 (@dobonparty) 2014年4月17日
キャラメルコーンの幼稚性と離婚を迫る女の性の対比がたまらんですな
@dobonparty @macchauno なんていうか、相手の男性に奥さんと別れてほしいけど、キャラメルコーン買って欲しい、を言うことで逃げ道を作ってる感じが、切ないというか、可愛らしいというか、私は好きですね、このビミョーな感情。
— よつば (@4leafclover7) 2014年4月17日
ちょうど男女の立場から解釈が出たのもおもしろかったなーと思います。
ドボン会長は上の句と下の句の対照的なモチーフをそのまま比較し女性性を感じています。
対して4clover7さんはもうちょい踏み込んでストーリーを補完してますね。
間違いなくこれは妻子ある男性を不倫関係にある女性の心情を詠んだ歌なんですが、受け取り手のもつバックボーンで少しずつ女性像の輪郭が異なるのがおもしろいし、短歌の醍醐味だなと改めて感じた次第です。
ちなみに私の目線はどちらかというとドボン会長よりで、「キャラメルコーン」アイテムが一見甘くロマンチックかつ可愛いく響きますが、この「今すぐ買ってこい」という無茶ブリ感と「妻と別れろ」という要求との対比に、狂気に近い怖さを感じますね。
でも心の逼迫感をよく表してもいますよね。
詠み手の女性は「妻ある男性」をのび太みたいにパシリに使おうとしますが、「妻と別れてくれない男」と付き合い続ける女性もまた男への従属関係の状態にあります。
男は言わないかぎりその現実に気づかないので、あるときふっとナイフみたいにこの台詞突きつけたくなりますね。
心あたりのある女性は突きつけてみてもいいかもしれません。
個人的に短歌や俳句、写真なんかは、解釈に幅ができるほど「いい作品だ」と感じます。
正解というのはないと思うのでみんなで解釈してみるのも楽しいですね。
たまに写真やInstagramにみっちりポエム書き込んでるのあるけど、アレいとわろし。
追記
id:dobonpartyドボン会長が素晴らしい解釈の情景を描いてくださいました。
その他にもブコメで男性側からの返歌をくださった方もいらっしゃいました。
これほどまでに有機的な拡がりが見られるとは、短歌を好きなもの、この歌を好きなものとして本当に嬉しいです。
ぜひ合わせてご覧ください。
今すぐにキャラメルコーン買ってきて そうじゃなければ妻と別れて という短歌に感じる情念 - ネットの海の渚にて
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