アドレッセンス11首
アドレッセンス11首
8月
膝を打つビートで気づくジョックロック ナカタの夏は終わっていない
文字式もろくに解けない中3の揚々と書く「want to be a good drummer」
脱走を果たしたワダよ内履きでそのまま夏をにげきってゆけ
脱走を果たしたワダはノノちゃんに振られて死刑囚のように居る
うつむいてわからない問い指すきみよいつかの僕も同じだったよ
1月
冬期講習窓なでおちるしらゆきの落下速度をyであらわせ
できなかったものを求めてまだいます 二次関数とかおしゃべりだとか
「わたしたち」だった人称分かれてく ばかなまんまでよかったのにな
寒廊下座禅組んでる野球部のボウズのさきに透きとおる海
「ありがとうございました」とまっすぐに瞳をみるきみよすこやかであれ
3月
はればれと信号待ちをするきみの卒業証書と同じ色の空
※この物語はフィクションです