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nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

情けない話が好き

人の情けない物語が好きだ。
田山花袋の「蒲団」とか、山田詠美の「ME.&MRS JONES」とか、瀬戸内晴美の「けものの匂い」とか、吉行淳之介の「ある手品師」の話とか。
映画でいえば「キャバレー」でサリーに「ぼくもだ」と告げるブライアンの表情とか、ほんとにほんとに情けない。ほかにも情けない話ばかりを読んでいた気がするし、世の中にはこれ以上のもっと情けない良作があるのだろうけど、いかんせん私は読書体験が乏しい。

心が心に踏みにじられる瞬間、哀しみの感情が体裁もなくあらわになる瞬間にたちあうと、どうしようもなく心が悶える。湿度があがる。そうして細く長く溜息がでる。

ああ、よかった。人間はこんなに弱く、情けなくて、格好が悪い。私と同じように。

そんな物語に出逢うたび私はそうやって安堵する。人は世界の前に等しく侏儒である。そしてもっと情けない物語に寄り添いたい、味わいたいと思う。それらは私の物語であり、代弁者である。

寄り添いたいなどと優しげな言葉を使ってはみたけれど、人の情けなさ不甲斐なさを探し求める嗜好と、一見完全無欠のセルロイドのようなプロブロガー文章の行間から滴り落ちる人間性に舌なめずりする人喰い嗜好と、品性はあまり変わらないと自覚している。どちらも他者を消費している。


なんでこんなことを書きたくなったんだっけ、と思い出したら、そういえば最近プロブロガー論が飛び交っているからだった。プロブロガー論はよくわからない。なので読んでもいない。
自分にとっては情けない話こそが、ライフハックライフラインで書き表すのがもっとも難しく、そして何よりも尊いものなので、匿名顕名にかぎらずどうぞ安心して書き漏らしてくださいませ、というお話。もれなく私も漏らし続けるでしょう。

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