#2023の本ベスト約10冊 +マンガを振り返る
ご無沙汰しております。卯野です。
読書メーターによると今年の読書は約26冊。
夏と冬の休暇中にまとめて読む感じ。
フィクション・ノンフィクション含めのベスト
プロジェクト・ヘイル・メアリー
文句なしにエンターテイメントで面白かった。「三体」もそうだけど内容が面白ければ物理とか宇宙とかわからなくてもここまでひきこまれるんだと教えてもらった。映画も楽しみです。
「火星の人」も面白かった。
火星の人〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF)
火星の人〔新版〕 下 (ハヤカワ文庫SF)
オデッセイ(字幕版)
音楽と生命
坂本龍一教授と福岡伸一さんの対談。
各分野で「ロゴス(論理、理)」の頂点に立った二人が「ピュシス(自然)」への回帰を語りあう。
ピカソしかりみんなそうなるのかな、と思った。
ゆるゆると穏やかに言葉を重ねていく雰囲気が好き。
外圧の日本史
本郷和人さんの本はどれも読みやすいんだけど、特に読みやすく面白かった一冊。
「外圧からの脅威」にどう対応したのか、の側面から日本史を解読する。
短歌のガチャポン
よい本を読んだ直後の余韻がよくて、もっと味わっていたくて、読書メーターにすぐに感想を書き込むことができないんだけど、こうして時が経つとそれももったいない気がする。どの頁をパっと開いてもじいんとする。
「くちづけをしてくるる者あらば待つ二宮冬鳥七十七歳」 二宮冬鳥
明るい歌。
「戦えばオレをぶちのめせるだろう中学生の低い挨拶」 工藤 秋生
この人の歌集買わないとな。他の作品ともあわさってえぐってくる。
新任刑事
作者は実際に警察庁勤務経験がおありだったとのことで、リアルな警察小説を読みたい人にはたまらない一冊。ただ内容が濃密すぎて&難解で気を抜くと振り落とされる。
ラストの犯人のアイデアがすごい。エンターテイメント。
ゴリラ裁判の日
おすすめ本。タイトルのイメージだけでギャグなのかと思ってたら、ぜんぜんそんなことはなかった。
「言語」をキーワードに、「人間とは」「動物とは」の定義を考えさせる作品として面白かった。
テーマは「人間と動物の境とは」なんだろうけどそこまで哲学的にテーマを追求しておらず、その入り口として明るい読後感なので、小中学生など、幅広くの読者層に読んでもらいたいなと思った。
恋に至る病
おすすめ本。「ブルーホエール」という実際にあったゲームをツールとして、純愛を描いた作品。
「マニピュレーター」、人を操作する魅力のあるヒロイン景が作中通して破綻なく描かれていること、ゲーム「ブルーモルフォ」をめぐるスピード展開、景と主人公との関係ははたして真実だったのか?の3つをきっちり成立させている筆力がすごいと思う。
第一芸人文芸部
文芸誌「第一芸人文芸部」創刊準備号 – FANY MALLおすすめ本。私は「火花」のラストを読んで以来又吉直樹が好きなんだけど、ピストジャムさんの書評もよかったしファビアンさんのショートショートも良かった。
ファビアンさんは「星新一好きなんかな」と思ってたら最後の「メンドメイド・ウェディング」ラストでやられた。火花同様「どうしようもねえ人間(自分含め)」への憐憫と、それでもほっとけない愛がここにはある、と思った。
マンガ編
僕らには僕らの言葉がある
kindle unlimitedで見かけたのかな。思いがけず良かった。
キャッチャーの男の子が聾者のピッチャーと出会う話。
「支援するー支援される」のフレームで見ているのは大人だけで、当人たちにはそんな垣根は見えない。
読み返したくなる一冊。
光が死んだ夏 3
日本ホラー映画的な、独特の不穏さがクセになる漫画。
3巻から霊媒師?的なお兄さんが出てきて、大味にならないといいなーと見守っております。
2024年ぜったい読む作品
レーエンデ国物語
ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
君のクイズ
されど私の可愛い檸檬 (講談社文庫)
畏れ入谷の彼女の柘榴
阿修羅ガール(新潮文庫)
君の地球が平らになりますように (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
伊藤計劃記録 Ⅰ (ハヤカワ文庫JA)
Cinematrix―伊藤計劃映画時評集2 (ハヤカワ文庫JA)
Running Pictures―伊藤計劃映画時評集1 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤計劃記録
パリの砂漠、東京の蜃気楼 (ホーム社)
笑い神 M-1、その純情と狂気 (文春e-book)
名探偵のままでいて
音楽は自由にする(新潮文庫)
正欲(新潮文庫)
蜩ノ記 (祥伝社文庫)
人生は短い。来年は読書の時間をとるために労働時間をどうにか短くしたいものです。
読書メーターもよろしくおねがいします。
bookmeter.com
腎移植のドナーになってきた④入院、そしてメンタルチェック
前回まで
nerumae.hateblo.jp
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「生体間腎移植のドナーになってきた」のつづきです。
4回の適合検査の結果も良好、拒否反応も出ず、手術にGOサインが出た。
というわけで入院。
ここでは入院後、手術前までに行なった主な検査や食事についてです。
クレアチニン検査
わりとゆったりしたスケジュールで、
入院後2日目くらいからクレアチニン検査を行う。
これは、まる1日かけて尿を採取する検査で、尿の量や内容からクレアチニン値というものを調べる。これによって腎臓がどれだけ元気に動いているかわかるらしい。
通院中もそうだったけど、「とっても元気な腎臓ですね!」と褒められる。
ちなみに一足早く入院していた弟からは、「腎生検を受けて悶絶しているなう」と連絡があった。生きたまま腎臓まで届く針を刺すらしい。
いったい弟の前世になんの業があってこんなしんどい思いをさせるのか。神さま。
エニマクリン食
エニマクリン食とは
www.glico.com
腸の近くを手術するということで、2日ほど消化にいい「エニマクリン食」を提供される。
量は少ないけど味がしっかりしてておいしかったです。
途中にビスコが出てきて「なんで?」と思ったけどいま検索してわかった。グリコが提供してるのを病院で採用してたのかな。
精神科受診(メンタルチェック)
入院して気持ちが落ち着いてきたあたりに、ドナーは精神科への受診が設けられているそうだ。
「自分はドナー側だし、わりと落ち着いていますよー」といっても、
「いやいや」と先生。
「使命感による軽度の躁状態」
先生いわく、「臓器移植手術のドナー、とくに家族間の方ほど、使命感みたいなものが出てきちゃって、不安よりも逆に躁状態、いわゆるすこしハイになっていることが多いんですよね」とのこと。
そこでわたしも「ああ!!!!!!」と腑に落ちた。
自分でもうすうす感じていた。
この臓器移植に向けて、この日まで私が不安や緊張をあまり感じず、むしろ、「早くやろう早くやろう」と前のめり感があったのは、おそらくこの「軽い躁状態」みたいなものがあったからなのだ。
すでにだいぶ体調が落ちている弟をこれ以上見ていられないという思い、
当事者である弟の前で、家族として姉として気丈にしなければという虚勢、
その虚勢や意地によって自身の不安を見ないようにしようというごまかし、
その他もろもろが交じり合って変なアドレナリンを出していたのだと思われる。
すごいなー、と思ったのが、この「使命感による躁状態」が、わりと一般的なもので、誰にでもおこりうるものだということ、ご多分に漏れずわたしもきっちりそのルートを通って躁状態になっているんだな、ということ。
弟に腎臓をあげることになるなんて確率的に少ない経験をするなかで、私にとっては今まであじわったことのない不安や緊張、高揚や使命感、複雑な心理状態の変化を、これまで臓器移植を行なった人たちも同じように経験してきたのだ。
だから通院や検査、メンタルケアに至るまで、移植手術までの道のりがスムーズにストレスなく整備されているのだ、ということをこのときやっと理解した。