nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

200517 More haste, less speed

平日に全HPを使い果たし土日に死ぬ癖はどうやったら治るのか。いいかげんにしてほしい自分よ。

とまれ本格的に仕事再開。予想通りのちょっとしたトラブルもあり、脳みそフル回転の1週間であった。神経をしめ縄ビルドアップしないと追いつかないぞ。

・銭湯へ行く
Onsen

日曜夕方、やっとこさからだが動くようになってきたので地元のミニスーパー銭湯へ。非常事態宣言中に唯一行きたかったアミューズメントパークだ。
ここいらは桜の開花が遅く、5月ころスタートなのだけれども、今ではさすがにほとんど葉桜になっている。
と思ったら、泡風呂の近く、外庭の木にはまだ桜の花びらが残っていた。白い湯気のむこうではらはらと散りながら、根本いちめんに桜のじゅうたんをつくっていたのであった。おりしも外は皐月の晴れ間。
おもいがけないこの自然の歓待に、私は心震わせながら湯につかり、やはり神様はいらっしゃる、いらっしゃって私に「経済を回せ、風呂屋を救え」とおっしゃっているのだ、と思った。がんばります神様、と合掌した。

・読んだ(感想はのちほど!)

うたうおばけ

うたうおばけ

  • 作者:くどうれいん
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

・読んでる

【第162回 直木賞受賞作】熱源

【第162回 直木賞受賞作】熱源

異物側からの世界「コンビニ人間」村田沙耶香

おもしろかった。「普通」って難しいね。

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

以下感想。引用とラストほんの少しのネタバレあり。

あらすじ

古倉恵子、36歳、「コンビニ店員」としては18歳。
少し世界との折り合いがうまくいかない「わたし」は大学時代からのコンビニエンスストアでアルバイトを続けている。
コンビニの一部としてうまく機能している自分に満足していたわたしの前にある日、白羽という男がバイトで入ってくる。
「世界に僕の人生をこれ以上強姦されたくない」と主張する白羽と、「結婚」や「彼氏」を世界から詮索されるわたし。
少しずつ「わたし」の世界が変化していく。

キーワード

「どうすれば『治る』のかしらね」

でも白羽さん、ついさっきまで迎合しようとしてたじゃないですか。やっぱりいざとなると難しいですか?そうですよね、真っ向から世界と戦い、自由を獲得するために一生を捧げるほうが、多分苦しみに対して誠実なのだと思います」

「じゃあ、私は店員をやめれば治るの?やっていたほうが治るの?白羽さんを家から追い出したほうが治るの?置いておいたほうが治ってるの?ねえ、指示をくれればわたしはどうだっていいんだよ。ちゃんと的確に教えてよ」

そうか。叱るのは「こちら側」の人間だと思っているからなんだ。だから何も問題は起きていないのに「あちら側」にいる姉より、問題だらけでも「こちら側」に姉がいるほうが、妹はずっと嬉しいのだ。そのほうが妹にとって理解可能な、正常な世界なのだ。

少しだけ世界の感じ方が異なる人からみた世界。おそらくこれはグラデーションの問題で、だから私も少なからず恵子の生きづらさは共感できる。世界とのズレは感じながらも世界を観察して擬態できるほどには聡明で客観性をもち、家族や周り、そして自分の平穏を願うくらいには善良。「自分は世界から弾かれたとしてもこれをやりたいんだ」という強固な意思も傑出した能力もなく平凡。そしてそんな人が大半なんだと思う。

とくにささったのが恵子の「指示をくれればわたしはどうだっていいんだよ。ちゃんと的確に教えてよ」の台詞。私も心の中で何度か叫んだことがある。思うにこれは「治そうとする側」「あちら側とこちら側の壁を設けようとする側」のルールを従順に守ろうとするからこんなに苦しいんだろう。今思えばそれはブラック企業の「お前はダメだ、何がダメかは自分で考えろ」の洗脳方法と同じやり方じゃんね。

だからラストのあの宣言は、シニカルな場面だけど、救いがあって潔くて美しかった。恵子は困っているコンビニの「声」を聞くことで自分の天命を理解する。恵子はコンビニ人間、もといコンビニ店員として生きることを宣言する。それはコンビニとの結婚の誓いのようでもある。「指示をくれればわたしはどうだっていいんだよ」といっていた恵子が、自分で選びとった世界との結婚だ。
恵子のたんたんとしたキャラクターに癒やされた一作。幸あれ。

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