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ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

題詠短歌「なんだか胸がくるしいんです」71-80

題詠マラソンとは
題詠blog2014

お題をもとに短歌を読んでいく題詠イベントです。
お題は全部で100首。1年間で読んでいきます。
未発表の短歌に限ります。
(2014年度へのエントリを忘れたのでここで練習します)







071:側

側転でふたりイデアを駆けまわるあなたと私ひとつのころに





072:銘

艶やかに蚊を打ちはらうわが母の座右の銘はエ・アロールです






073:谷

ほの白きすきまの谷のその奥の湿った僕をだきしめる室




http://www.flickr.com/photos/79925938@N00/318193972
photo by Scootie





074:焼

誰もかも焼いてしまえば同じこと お前の代わりに煙になりたい





075:盆

毎盆にやってた恋愛ごっこさあ、挿入ってたよねあれ?と従兄弟に








076:ほのか

今ならばお前の気持ちがよくわかる ほのかという名で苗字は捨てて






077:聡

残りしは渡しそこねた指輪だけ 寺尾聰もトゥールットゥルットゥー




078:棚


駄菓子屋の木棚のすみに残されたほこりかぶったビックリマンチョコ






079:絶対

「絶対」を使う男は信じない つながったとき泣きたくなるから






080:議

「議事堂の真下の宝をゲットだぜ」と出てったっきり50年です



http://www.flickr.com/photos/96173146@N00/14047414676
photo by Photomitch








他の方の短歌です。すてきです。
http://blog.goo.ne.jp/daieiblog2014/tb/f1909ac29a91edd4ae8b42cc4f337817

きょうはこの中から特に面白いと感じた歌を2首。


072:銘(木下BUCK-TICK侑介) (silentbluefilm)
参照記事:072:銘 銘柄がももちという名の斬馬刀でペガサスをフルスイングで殺る

この木下さん、どうやらずっとももち縛りで詠んでらっしゃるようです。
ももち縛りという強烈なハンデを自分に課すのは一見超テキトーのようでいて、これを続けるための精神力と思いきりは相当なものだと思います。だってぜんぶももちで世界を完結させるんだよ。
なぜか指定されたページが見つからず残念なことにブログを消されてしまったようなのですが、精神にきてしまったのかしら。心配です。

073:谷(こはぎ)
2014.02.25 Tuesday
谷間など存在しない丘陵を愛おしそうに撫でる手のひら


073:谷(こはぎ) | こはぎうた

こはぎさんも性愛を含む男女のことを主題にして詠んでいらっしゃるようです。
こころをゆるしている2人のあいだのほのエロい空気感がよく出ていて素敵だなと思います。



読みたいです
[asin:448043187X:detail]

題詠短歌「なんだか胸がくるしいんです」61−70


061:倉


「赤ちゃんができたみたいなの、そう彼の」小倉パヘ屋でなぜ僕にいう


http://www.flickr.com/photos/7252036@N05/2317968521
photo by Usodesita





062:ショー


泣きながら打ちこまれた夜もさようなら いつかの我のすけすけショーツ







063:院


「少年院に二年はいっていたらしい」伝説おどるコウタさんのとんかつ*1





064:妖




妖怪図鑑の島根の妖怪に漫☆画太郎のババアがついてる*2











065:砲



コカ・コーラ・ゼロをおくちにほおばってぴゅーと水鉄砲とほら、虹







066:浸




足もとを浸した海のつめたさに掴まれどうかゆるして親月*3







067:手帳




手帳には書けない日々がぽつぽつと あなたとのこと不稔ですから








068:沼




沼底で藻草に耳目をふさがれるよるはだまってちからをぬいて








069:排




排水口のぞけば排水口もまたあなたを見ているのだ 真理


http://www.flickr.com/photos/25641154@N00/367141774
photo by entrelec







070:しっとり




しっとりいみゆきがこっちへやってくる 息を止めるか餅米をもて




霊幻道士






ほかのかたの短歌も素敵です
http://blog.goo.ne.jp/daieiblog2014/tb/7e79512fc445269a89686b8e4f61aee8







番外


ここでしか昇華されない業があり テキストのなかの殺意をゆるせ




すこしだけ目線を上げて青蛙 あめがあがったアスファルトの香







好きです
淋しいのはお前だけじゃな

*1:大学時代のバイト先の料理長。155cmくらいで基本的に明るくムードメーカーでしたが、たまにぼーっとチャッカマンで掌をあぶっていたのが印象に残っています。実際には2年も入っていないはず。とんかつは美味かった。

*2:乳房を胸でX型にクロスさせて肩にかけた老婆の妖怪が載っていました。ちなみに割とイイ奴らしい。

*3:「旧暦の月名」http://www.ss.iij4u.or.jp/~ana/kyureki.htm参考にさせていただきました。親月<おやづき>は「親の墓参りに行く月」だそうです。

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