あしたの煮物という愛情−よしながふみ「きのう何食べた?」9巻感想
抹茶です。まだ入道雲がみえて少しほっとしています。
読了しましたー!ざくっと感想をば。
「どんなお話?」という方のためにあらすじはこちら。
弁護士と美容師のゲイカップルの日常を通して料理をめーっちゃ美味そうに描写するマンガです。
きのう何食べた? - Wikipedia
以下内容に言及してます。
・シロさん2.0
全体を通していうとシロさん(弁護士の料理つくるほう)が、ケンジといっしょに生きていくことにかなりスッキリとむきあってる感じで読後感が良かったです。前巻の両親へのカムアウト、京都旅行を受けてでしょうね。
「こないだの正月は寂しい思いさせて本当にごめんな」
なんて言ってるシロさん本当に男前。
・あしたの煮物という愛情
収録されている68話でシロさんは同期との飲み会で家を空けるため、ケンジに2日分のおかずを作り置きしていくんですけど、ここがまたよかった。
例によってケンジの好きなメニューばかり作るのはもちろんなんですが、その中のひとつに「イカ大根」があって、ケンジは
「そりゃちょっとは心配だけど明日になった方が美味しい煮物をつくってくれるなんて愛だもん♡」
と気づいてくれてるんです。
そうなのよ煮物って翌日のほうが味染みてて美味しいのよね。
このマンガに「愛してる」とか「愛情」とかって単語は出てこないんですけど、自分のいないところでの相手の快適を願って手間をかけるなんて、ものすごく愛じゃないすか。
そういう考えが私になかったことがバレバレですけど。
モーニングの読者層って20代後半〜40代くらいの男性中心かなってとこで*1、最初そんな雑誌でゲイ設定で描くってよしながふみ先生すげーなって思ったんですけども、さすが御大そこらへんはカスタマイズされてらっしゃる。
2人のカップル生活詳細(タチとかネコとか)にも突っ込んで言及してない代わりに、マイノリティがふつうに生活していく上で世間一般の「フツー」に合わせなければいけない息苦しさとか、
「かわいいお嫁さんを連れてきて孫をみせてくれるもんだと思ってた」って親の期待に答えられない申し訳なさとか、
不妊治療、離婚、親の病気/介護、じぶんの「年とったなー!」って衰えの実感とかとか、
そういった読者層のごく身近にあるテーマもぜーんぶフラットに、さらーっと、描写されてるのがいいですね。
男性の感想もきいてみたいな。
月500円で週刊モーニングが読めるアプリもできたみたいでやんす。
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奥浩哉先生「いぬやしき」もある!アシさんのあとがきがジンときた。
サイボーグGちゃ(ry
いぬやしき - 奥浩哉 / 第1話 人生いろいろ | コミックDAYS