nerumae

ほぼねるまえに更新してます 読んだ本/聴いた音楽/マラソンみたいに続けていきたいふつうの日記

短編小説の集い第4回感想です

はい!頼まれてないのに感想言っちゃう卯野ちゃんだよ!
楽しく読ませていただきました、ありがとうございます。

感想

甘党 - OK 余裕

甘党 - OK 余裕

「シュンちゃん、それもう負けてると思うよ。欲望に正直かもしんないけど欲望に負けてる。」

マー坊の、実はこのメンバーの中でいちばん現実生きてるセリフがいいです。

タバコとビールの空き缶と微笑んでるエロ本がカオスに部屋にちらばってる男世帯の部屋のにおいが漂ってくるような短編でした。キッズはリターンできない。甘酸っぱい。THE3名様って読んだことないけどこんな感じかなあ。

ao-ruiさんのセンスある会話、もっともっとシャープに唯一無二にできるのではないかと思いました。


粉 ― 【第4回】短編小説の集い 投稿作品 - ごくまトリックス
粉 ― 【第4回】短編小説の集い 投稿作品 - ごくまトリックス



こうせんという甘味飲み物をめぐっての、家族の思い出話。
そうそう子どもの頃ってそれがなんなのかわからなくても喜んで食べたり飲んだりしてたよなーと。こうせん美味しそうだなあ。飲んでみたい。

こぐまさんの作品はテーマと文字数とのバランスがちょうどよくいつも読みやすい物語だなーと感じています。
あと家族の情景についての解像度が高い。

あと余談ですがこぐまさんの前回作品、私の中でベスト・ワンでした。
ギリシャ神話のモチーフ使いを今回真似っこさせていただきました。

忘年のイクシーオーン ― 【第3回】短編小説の集い 参加作品 - ごくまトリックス




甘い誘惑 -第4回短編小説のつどい- - このはなブログ

甘い誘惑 -第4回短編小説のつどい- - このはなブログ

はなこさんは文章が読みやすいだけでなく物語の作り方、とてもセンスがある人だと毎回思います。単に私の好みなのかもしれないけど。

今回の物語においても、ラストが「それをするかしないかの二択」しかないと途中でわかっても、ぐっと惹きつけられて最後まで息をとめて読んでしまいました。璃子の動悸が伝わってくるようです。

このあと解決がしてもしなくても、璃子はそのお菓子を食べるたびに美香と”それ”の感触を思い出してしまうんだろうなあ。不穏です。


夢の一日 - 美の特攻隊

夢の一日 - 美の特攻隊


満蔵さんの物語、ワイの読解力では1回で理解が難しかったです…。

物語は「マリアーヌ」とその犬「シシリー」の登場する夢のなかと「わたし」のいる現実世界の交錯、うつつといったところですね。(よね?)

詩歌を模した、つながっているようでつながっていない情景描写はまさに、どこか霞がかった夢の中のようでした。表現が優雅!


『ざらざら』 - バンビのあくび

『ざらざら』 - バンビのあくび

えこさんの今回のお話は読んで「あっ」て声あげちゃいました。「あっ」て。
駄菓子にまつわる主人公の甘酸っぱくなつかしい思い出の数々。それが世代を経てリンクし、せつなくもきちんと実を結んで帰結する、バチーンときまった最高の終わり方だったと思います。とくに美奈子のエピソードのとこ好きだったなあ。

読後、私も直人とそっくり同じような子ども時代を体験して今まで生きてきたような、不思議なだけどちょっと幸せな気持ちになりました。過去を物語で塗り替えられるなんてことあるんだなあ。


『甘やかな蜘蛛の糸』 - うつ病だけど、生きてます

『甘やかな蜘蛛の糸』 - うつ病だけど、生きてます

星屑さんの作品は前作も好きだったんですけど今作も女の子が無邪気で残酷で魅力的ですね。

もしかしたら作者さん自身がこんな女の子に憧れているのかもしれないな、と思いました。というのは私が今回じぶんとこで書いた「カスミ」がまさしくそういう自分の憧れを反映した女の子だからです。

とすると、主人公の男の子は理性です。両者はすんでのところで交われません。

誰かにここではないどこかへ連れて行ってほしい、自分の欲求に純粋な、享楽的な女の子。存在そのものがお菓子のように甘くどこか現実感のない彼女に置き去りにされることこそが、嫌でもおとなにならなければいけない思春期の終わりを表しているようでした。せつなひ。


【のべらっくす】お腹に落し物 - 野良猫の午後

【のべらっくす】お腹に落し物 - 野良猫の午後


優しく、どこかエロティックな夜の物語。
すごくないですか、直接的な性描写がないのに階段腹にチョコレートやら蜂蜜やらたらして舐めるってものすごくエロく聴こえないですか、でもちゃんと上品なんですよ、いやすみません興奮して。

隆史が、とまどったような表情を浮かべる。お腹の上では、冷えかけたチョコレートが私の不安と同じように、じわじわ広がっていく。


ここんとこのチョコレートの使い方がんああ上手だなー!と思いました。ラストは優しいハッピーエンドで終わったけど、どこかそれだけではない余韻が残るお話でした。
あっ最後まで読んでタイトルに戻ると、おなかにたくさんのものが落ちてる…!


ルイスのチョコレート - 金田んち

ルイスのチョコレート - 金田んち

ルイスのチョコレート食べたら脚めっちゃ早くなりそう!ベン・ジョンソンのチョコレートなら新記録つくってあとで剥奪されそう!蛇足でした。

いいまつがいが多い脇役の剛が笑わせてくれるんですが、これ読み直したら伏線なんですね。

主人公裕も最後キメなあかんでえ!ってところでまさかのいいまつがいをしてしまって、「血と涙と努力の味」を噛みしめるという。たしかに臭いますねって言われたら殴るわ−。ぶん殴っちゃうわー。



ドラマ化できそうなキャラの立ったお話で楽しく読めました。


ハピネスウィーツ - さらさら録

ハピネスウィーツ - さらさら録

お菓子と近未来SFの組み合わせがユニークで「ナイス発想!」と思いました。

PAIのある世界とそれに付随した世界観の設定が細かくて、異質の組み合わせでもすっと世界に入っていけました。

個人的にSFのよいところって、舞台設定が特殊だからこそ人間に普遍の感情、愛とか恋とかが際立つとこだと思ってます。

さらささんのお話も、PAIが未来予測をできる世界だからこそ、可能性が極めて低くてもそれに向かうハスミの強い思いが伝わります。

もしかしたらハスミ一人では可能性が低くても、ナオといっしょだったら未来は変わるかもしれない。そんな可能性を感じさせるラストもすてきでした。


小説: スフレ・オ・ショコラ(チョコレートのスフレ) - okinot’s blog

小説: スフレ・オ・ショコラ(チョコレートのスフレ) - okinot’s blog


スフレを作る過程が丁寧に描写されたお話でした。

お菓子づくりって料理と異なり、分量や時間をきっかり守らないと美味しくできません。なので几帳面な性格の人にむいていると思うのですが、三葉子の描写や康二に対する視線からもそのきっちりとした几帳面さ、観察眼がうかがえます。



スフレ生地を詰めたココットを2つ天板に並べながら、三葉子はこれから康二と重要なことを話さなくてはいけない、と考えていた。

「一番おいしい瞬間を過ぎたら、スフレは意味なくなっちゃうからね」


ラストの描写から推測するに、三葉子は康二を恋人とは異なる目線で観察している。2人の間には少なからずほころびがある。三葉子はスフレを囲んで康二にこれから重要な話をする。それはきっと、しぼんで一番おいしい瞬間をすぎてしまったスフレのような2人の関係についてのこと…。

スフレをつくる過程がとても優雅で丁寧だったので、2人の「ほころびつつある関係」の描写ももう少し具体的でもいいのかなあと思いました。
たとえば康二のPCの向こう側に異性の影を感じるとか、前半の優雅さとは対照的な。うーんそれだとありきたりになってしまうか?難しい。okinotさん自在に書けそうですね。

余談ですが私はお菓子を作ろうとして必ず得体のしれないクリーチャーが出来上がります。


のべらっくす【第4回】短編小説の集い ぼくの大好きなビスケット - ファンタジー頭へようこそ!

のべらっくす【第4回】短編小説の集い ぼくの大好きなビスケット - ファンタジー頭へようこそ!

テーマ選びと視点の切り替えの組み合わせがユニークな、そして他人ごとと看過できない物語でした。


この光くんの視点のとおり、年端もいかない子どもにとっては母親は絶対で、怒られるのはすべて自分が悪いからだと受けとめてしまいます。


光くんの見えている世界と母親の世界との対比が痛ましすぎる。


誰でもふとしたきっかけでこの虐待する母親側になってしまうこと、虐待までいかなくても意図せずとも自分が子どもを支配している可能性を常々リマインドしないとあかんのちゃうかな、そのリマインド、警鐘、冷水の役割として文学とか物語はあるんちゃうかな、と改めて思った作品でした。なんで関西弁。


【第四回】短編小説の集いに参加します。 - 池波正太郎をめざして

【第四回】短編小説の集いに参加します。 - 池波正太郎をめざして

「冬の動物園」のタイトル通り、冬の動物園とそこをめぐる僕達を同じ目線の高さに並べて描写した作品。
作者のまさりんさんはおそらく観察眼がするどくて写真みたいに情景を記憶、再現できるお力のある方なんでしょうね。直接的な人物の心情描写をここまでおさえていても園内の動物の親子とリンクさせて決壊してしまったシホの感情を読者に理解させる力はすごいなあと感嘆しました。

本筋から逸れますが彼女たちのいうがままにお金を出してしまう「僕」とシホそしてチエはいったいどんな関係なんだろうと興味がわきました。


思い出したら噛み殺して ~短編小説の集い宣伝~ - 無要の葉

思い出したら噛み殺して ~短編小説の集い宣伝~ - 無要の葉


ルポライターと夜の街をただようある女の子の物語。

ゴールデン街はなかったけど寂しさを別の強がりにごまかして漂っていた身としてはなくならないガムに執着する女の子の気持ちがちょっとだけわかる気がします。

「アイスは溶けちゃうからかわいそうじゃないですか」

ってぽろぽろと涙をこぼしながらそれでもパフェを食べるとこ可愛かったですねえ。

それでも命じられるまま食べちゃうんだよねえ。言ってる相手をただひとつすがれる光と勘違いしちゃって。





卯野好き賞

卯野が今回特に好っきやでえという作品を断腸の思いで1つだけピックアップします。


えこさん


『ざらざら』 - バンビのあくび


テーマとえこさんの世界観がガッチリハマって卯野の胸にギュン!!ときたお話でした。
私以外にもこの物語によって救われる人がいるでしょうし、これからえこさんが作られる物語にも同様にその力があるんだろうなあと思います。
ありがとうございますといいたい気持ちです。m(_ _)m


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【創作】ごはんの時間−第4回短編小説の集い - nerumae
私も書きました。別尺とってのちほどたっぷり自分語りします。
誰もきいてなくても語っちゃうんだから。




はてな題詠「短歌の目」

はてなブログで題詠短歌10首を読もうぜ!企画です。
どうぞ気軽にご参加ください!



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