第7回短歌の目9月 狛犬の舌
1.一錠
そのうちに一錠飲めるようになるきみの額がしんみり熱い
2.おい
幼手に餃子教えた祖母はもう我を知らない ちょっとだけとおい
3.ウーパールーパー
「お客さん運休ですよ今夜からウーパールーパーの大航海で」
4.マッチ
ドラエもんどこかとおくへつれてってマッチと明菜が暮らす世界へ
5.葉
葉がくれて夕日の朱に染まるころ ただしい決断のすえのわたくし
6.月
をりとりてすすき揺れたる長月のをんなの髪を夜にとかして
7.転
転んでも泣いてもいいの おさな子の仁王の顔に我を重ねる
8.舌
蜻蛉ゆく風を感じるためだけにひらかれている狛犬の舌
9.飽き
飽きたならどこへなりとてゆけばよし 憂いて顔だす新月のごと
10.【枕詞】うつせみの
うつせみの人とぞきみは恋ひたまふ なまみの我をも知らぬまなこで